なぜ「証言」しないのか ―「加害証言」を拒む土壌― |
「南京事件」の実態を調べる時大きな壁になるのが、「加害証言」を世に出す困難さです。 この点は、多くの研究者が共通して語る「常識」なのですが、掲示板等ではこれを理解せず、明らかに事実に反する「タテマエ証言」だけをタテに「日本軍の軍紀は正しかった」と主張する方が存在します。 このコンテンツでは、「加害証言を拒む土壌」をテーマに、各研究者の調査体験、また実名証言を行った方々に対する圧力について見ていきます。 まずは、各研究者の記述から、「聞き取り調査」の困難さに触れた部分を紹介します。
2016.2.14追記 「南京」に関するものではありませんが、ジャーナリスト・保阪正康氏が、「戦友会」の「暗黙の強要」について述べている一文がありましたので、併せて紹介します。
そして、実際に実名で「加害証言」を行うとどういうことになるのか。二つの事例を紹介します。 *念のためですが、あくまで、「実名証言」を阻害する社会風土の存在を説明することが目的ですので、個々の証言内容の「信憑性」についてはここでは問題にしません。1987年7月6日、京都府峰山町にて、元二十聯隊兵士3名(増田六助氏、東史郎氏、上羽武一郎氏)が共同記者会見を行い、それぞれ自分の陣中資料を提出しました。それに対する反応です。
次は、「幕府山事件」についての体験を語った、栗原伍長への中傷です。
中傷者たちは、証言者の語ることが事実かどうかなどには全く関心を持たず、ただ、「日本の過去の悪行について発言した」というだけで、証言者たちを攻撃対象にしています。 普通の生活を営む市民の方であれば、このような攻撃により生活が破壊されることを覚悟してまで「実名証言」を行なおうという気には、とてもなれないでしょう。 「実名証言でない」ことを批判する心無い方々には、ぜひ、以上のような状況を認識していただきたいものです。 次は、「証言しない人々」の「ホンネ」をかいま見れる事例です。「圧力」を怖れて公式の場では「証言」を拒む人々も、実際にはかなりの「加害」事例を知っていることをうかがわせます。
(2007.11.17)
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