脳を食った話 |
ネットではよく、「人肉食」「残虐な殺害方法」など、「中国人の猟奇性」なるものが取り上げられます。 しかし、これを「中国人の民族性」まで昇華させるのは、いささか行き過ぎの感があります。これについては、「通州事件」についての秦郁彦氏の発言に私は共感します。
さてそれでは、日本にはこの種の猟奇的事件は存在しないのか。もちろんそんなことはなく、例えば第二次世界大戦では、米軍捕虜を生きたまま解剖した事件、あるいは捕虜を殺して肉を食った事件など、目を覆いたくなるような残虐事件が続出していていることは、 よく知られている「常識」でしょう。 ここでは、たまたま私の目についた資料から、日中戦争におけるこの種の「猟奇的事件」を紹介してみましょう。 *当然ながら、これは「一部異常者によるこのような行為もある」というだけの話であり、「日本軍が全体として残虐である」と主張するものではありません。 このコンテンツは、「中国人の残虐性」をやたらと問題としたがる人々に対する、日本にだってこんな話があるんだよという程度の、一種の「からかい」とご理解ください。 最初は、憲兵として中国各地を転戦した、井上源吉氏の体験談です。昭和12年10月、北京の捕虜収容所での出来事とのことです。 「兵隊やくざ」たちが捕虜の脳を食べ、あやうく自分もそれを食べさせられるところであった、というリアリティのあるエピソードであり、比較的信頼できる話であると思われます。
次は、昭和12年応召、歩兵第六連隊所属に所属していた、草川鐘雄氏の『鉄砲担いで幾山河』です。この本には、元上官の中隊長が、序文を寄せています。 この本の中に、同じエピソードが場所を変えて、2回登場します。書きぶりを見ると、筆者はこれを、「残虐行為」ではなく、単なる「変人の行為」として受け止めているようです。 行為者の「実名」まで記載されており、これも信頼性の高いエピソードであると判断できるでしょう。なおここでは、「実名」は、プライバシーに配慮して●●としました。
最後に、『歩一〇四物語』です。愛知揆一外務大臣、山本壮一郎宮城県知事らが推薦を寄せている、いわゆる「郷土部隊戦史」ものです。 「病院で聞いた話」という「伝聞」ではありますが、「迷信に基く素朴な犯罪」として、三つのエピソードが紹介されています。
先の草川氏の記述にもありましたが、どうやら当時、「脳の黒焼きが病気にきく」という迷信があったようです。 (2011.2.5)
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