deliciouscoffee氏の「夏さん事件」論 |
deliciouscoffee氏(以下、「コーヒー氏」と略します)は、「夏淑琴さん事件の犯人」は実は「中国兵」である、という「珍説」を言い出し ました。もちろん、「否定派」界広しと言えども、こんな「珍説」を断定的に唱えている人物は、誰もいません。 以下、コーヒー氏がこんな「トンデモ」を言い出した「心理的背景」、そして、その「根拠」について検討を加えていきましょう。 まず確認しておきたいのは、コーヒー氏が、ほとんど条件反射的に、何でもかんでも「中国軍の仕業」にしてしまう、とんでもなく特異な発想を持っている、ということです。 それを証明する「客観的資料」など、全くお構いなし。コーヒー氏が主観的に「日本軍の仕業と100%言い切れない」と思い込んだことは、全部、留保条件なしで、「中国軍の仕業」ということになってしまうようです。 例えば、このような感じです。
それぞれの「事件」の内容を知っている方には、これはもう「お笑い」でしかありません。 彼自身には、そもそもそれぞれがどういった事件であったのか、という知識もありませんし、もちろん「中国軍が犯人」と決め付ける具体的な「根拠」なんか何も ありません。それぞれどのような「事件」であったのか確認して、実際の「犯人」が誰であったのか、資料を見て検討を行う、なんてことは、夢にも考えない ようです。 コーヒー氏の「夏さん事件中国軍犯人説」は、このような流れの中で出てきたものでした。初登場は、こんな文章です。
これだけ特異な説を唱えながら、「説明」はたった一行。とにかく、「犯人」は、何がなんでも「中国兵」。 誰が何と言おうと「中国兵」。頭の中に、そのような回路が完全に出来上がっているようです。 コーヒー氏には、「残虐行為」はすべて「中国兵」がやるものであって、「日本兵」は決してそんなことをやらない、という厚い「信仰」があるの でしょう。そこで私は、資料をひとつあげました。
するとコーヒー氏は、やっと「根拠」を出す気になりました。・・・というか、「論理」は完全に「後付け」。「中国兵が犯人」という大前提が頭にあって、その「肉付け」の材料を、必死に探し回っていたの でしょう。
何と、場所も時間も全く異なるところで起こった事件と「方法」が似ている、ということが、「中国兵犯人説」の「根拠」だという ことです。 常識で考えれば、例え「方法」が似ていたとしても、それは「ひょっとすると・・・かもしれない」というレベル。具体的な検証は、「夏さん事件」の実態に即して見るしかない・・・なんて当り前のことが、コーヒー氏には全く見えていません。 論理学風に言えば、「ある中国兵が残虐行為を行った」ということを、「すべての残虐行為は中国兵の仕業である」とすりかえている、ということなのに 。 そして実際のところ、その「方法」なるもの、日本軍の記録にも結構見られます。私は、そのことを、指摘し ました。
「中国軍犯人説」の最大の根拠である、「この手口は中国軍特有」とのご高説は、あっさりと崩壊してしま いました。これ以降は、コーヒー氏のレスは、全くの蛇足。「議論」をだらだらと引き延ばしているに過ぎません。 苦し紛れに、今度は、「夏さん証言の信憑性」を問題にし出しました。最新の「まとめ」が一番わかりいいので、これをそのまま取上げましょう。
さすがに最初の「断定」はあきらめて、「可能性が圧倒的に高い」というところまで後退したようです(^^) 「君が何とほざこうが」。非常にわかりやすい、「反論に詰まった」時の表現ですね。「君の言うことには何も言い返せないけれど、とにかく僕は正しいんだもん」というわけ です。 このうち1は、問題外。例えば「平頂山事件」のように、日本軍の側にも同様に「女子供もお構いなし」の記録が存在する以上は、これをもって「中国人が犯人である可能性が圧倒的に高い」などと言うことは、到底できない でしょう。 2については、私が再三にわたり「日本軍にも同様の資料があり中国特有とはいえない」ことを繰り返し説明しているのに、そんなことはお構いなし。コーヒー氏は、都合の悪い事実にはすべて目をつぶり、都合のよい事実だけを材料にして「論」を展開し ているだけの話です。 3も無茶。夏さんの記憶がどこまで正しいのかわからないが、「言葉が通じていた」などと断言できる材料は、何もありません。ちなみに、コーヒー氏の「論理」は、こうです。
*「中国人が犯人だった去年の「福岡一家4人殺害事件」とそっくり」というのを「根拠」とするのも、物凄い話です。「佐川氏のパリ人肉食事件」を 「日本軍人肉食事件」の根拠にするに等しい、時間・空間の隔たりを無視した暴論なのですが、コーヒー氏は、同じことを少なくとも3回は書いており、コーヒー氏が「大真面目」であることを伺わせます。 ちなみに、コーヒー氏が「言葉が通じている」と断じた根拠は、次の文章でした。
当時8歳の少女からのヒアリングだから、そもそもこれがどこまで正確か、という問題はありますが、この通りだとしても、夏氏や馬夫人は、どう見ても一方的に訴えを行っていたに過ぎ ません。 「殺さないで!」「やめて下さい!」というのは、別に言葉が通じなくても、態度で十分にわかるでしょう。そして、「何で殺したんだ」と中国語で叫んだが、日本軍兵士はそれを無視して殺人を重ねた、というだけの話 でしょう。 しかしまあ、この「推理」に従えば、夏さんは、「犯人が中国語を語っているのにもかかわらず、犯人を日本軍として認識していた」ということにな ります。コーヒー氏は、この矛盾を、どう解消しようというのでしょうか? 4も、「中国軍犯人説」の根拠にはなりえません。 状況から見て、夏さんが「犯人は日本軍である」と認識したことに、不自然な点はありません。だいたい、「夏さん事件」の犯人を「日本兵」と判断したのは、別に「当時8歳の少女」であった夏さんばかりでは ありませんでした。近所の人々は、すべて「日本軍の仕業」という判断を示しました。夢にも、「中国軍の仕業」などとは考えていません。 当然の話。激戦のさ中、1個小隊にもあたる30人もの中国軍兵士が、集団で持ち場を離れて、同胞の中国人に対する「集団強姦殺人」に勤しむなんぞ、常識では考えられ ませんし、近所の人々もそういう判断だったのでしょう。マギーは、事件の現場に出向いた時、「500人の中国人が殺された」という証言を聞いています。 たとえ「夏さんに犯人を「日本軍」と認識する能力がなかった」のだとしても、それはそれだけの話です。それを「中国軍犯人説」の積極的な根拠にするためには、何か別に、上の判断をくつがえすだけの、もっとしっかりとした「根拠」が必要 でしょう。 「夏さん事件中国軍犯人説」は、数多い「否定派」の中でも、コーヒー氏だけが唱える「妄想」ということで、もういい でしょう。しかしコーヒー氏、こんな「妄想」、本気で主張していたのでしょうか? (2004.7.10記) (2005.1.15追記) 掲示板では、また同様の議論が再燃したようです。こちらでは、コーヒー氏の根拠は、このようになっています。
1、2は、もういいでしょう。「まだ言ってるの」という感じですね。 3 夏さんは、「犯行日時」を「日本軍南京侵入時」と認識しており、ここから「12月13日」と証言した、という可能性は確かに存在します。しかし、日本軍の動き等の状況から見て、「12月13日」を「犯行日時」と認定することを、特に疑う必要はないでしょう。 万一「12月13日」ではなく、「12月14日」だったとしても、それはそれだけの話です。「日本軍の犯行である」ということに、変わりはありません。 コーヒー氏は日本軍侵入以前の「12月12日以前」の可能性を模索しているようですが、そのためには、上に述べた通り、激戦のさ中、1個小隊にもあたる30人もの中国軍兵士が、集団で持ち場を離れて、同胞の中国人に対する「集団強姦殺人」に勤しむ、という無茶な状況を想定しなければなりません。 だいたい、「中国軍兵士」が犯人だとしたら、いくら8歳の少女でも、軍服や言葉などで「中国軍兵士」であることぐらいはわかるでしょうから、これを「日本軍兵士」と誤認することは、極めて考えにくいことです。 ちょっと考えればわかりますが、いずれにしても、「日時がはっきりしない」ことは、「中国軍兵士が犯人だ」という積極的な証拠にはなりえません。 4 本人がそう証言しているのですから、「絶対にそんなことはありえない」という確実な証拠がない限りは、その通り素直に受け止めておけばいいでしょう。「考え難い」「不思議」ということは、コーヒー氏の主観に過ぎず、何の「証拠」にもなりません。 こちらもまた、ちょっと考えればわかりますが、「中国軍兵士が犯人である」という積極的な証拠には、全くなりませんね。「夏さんの証言は怪しい。従って中国軍兵士が犯人だ」というのは、いくら何でも飛躍のしすぎです。 さて、議論が続くうちに、こんな珍妙な発言が飛び出しましたので、記録に止めておきましょう。
ほとんど知識を持たず、何でもかんでもとにかく「中国軍兵士」の仕業にしたがるトンデモさんに「もっと勉強するべき」と言われたら、「研究者」たちも、さぞかし目を白黒させることでしょう。 (2005.1.15追記)
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