帝国主義戦争に反対する闘争と共産主義者の任務
A プロレタリアートは帝国主義戦争に反対してたたかう
1 帝国主義戦争の勃発前における帝国主義戦争反対の闘争
(一一) 帝国主義戦争に反対する共産主義者の闘争は、あらゆる色合いの平和主義者の「戦争反対の闘争」とは根本的に異なっている。(P379-P380)
共産主義者は、戦争に反対する闘争を、階級闘争から切り離して考えることをせず、それを、ブルジョアジーの打倒をめざすプロレタリアートの一般的階級闘争の一部分とみなしている。
共産主義者は、ブルジョアジーが支配しているかぎり、帝国主義戦争は避けられないことを、知っている。
この客観的な発展傾向の確認から、ある者は、そうだとすれは、ことさらに戦争に反対する闘争をおこなっても無意味だ、という結論を引きだすことだろう。そればかりか、社会民主主義者は、共産主義者が革命の到来を早める目的で帝国主義戦争をあおっていると言って、非難することさえやっている。
前者は誤りであり、後者はばかげた中傷である。共産主義者は、帝国主義戦争が避けられないことを確信しているとはいえ、この戦争のために苛酷きわまる犠牲を強いられる労働者大衆とすべての勤労者との利益のために、全力をあげて帝国主義戦争に反対し、プロレタリア革命によって戦争を予防するために、ねばりづよくたたかうのである。
この闘争においては、共産主義者は、戦争の勃発そのものを防止できなかった場合には、すでに開始された戦争をブルジョアジー打倒のための内乱に転化することができるように、大衆を自己の周囲に結集するのである。
(一二) 帝国主義戦争との闘争における共産主義者の第一の義務は、ブルジョアジーが戦争の準備をおおいかくすのに用いているベールを引きさき、其の事態を広範な大衆に示すことである。このことは、なによりもまず、平和主義にたいする最も激烈な政治闘争および宣伝闘争を意味する。
この場合、共産主義者は、平和主義のあらゆる色合いを注意ぶかく考慮しなければならない。次にあげるのは、そのうちの最も重要なものである。
(a) 官製平和主義。資本主義諸政府は、こうした平和主義によって、おたがい同士の策動や、ソ連邦にたいする策動を偽装する(国際連盟、ロカルノ条約、軍縮会議、「不戦条約」、その他)。
(b) 第二インタナショナルの平和主義(ヒルファディソグ、ポール・ポンクール、マクドナルド)。これは、官製の政府平和主義の一分枝にすぎないが、その論証を、社会主義的、さらには「マルクス主義的な」空文句で飾りたてるのセある。
(c) 一部の「左翼」社会主義者の「急進的」または「革命的」平和主義。この平和主義は、戦争の危険を承認しはするが、戦争にたいしてたんに無意味な空文句を対置するだけである。これらの平和主義者は、しばしば現代兵器の破壊力を誇張するが、これは、長期の戦争は不可能だとか、それを内乱に転化することは不可能だとかいうことを証明するためである。
(d) 半宗教的な平和主義。これは、教会の運動を基盤としている。
平和主義とのこの闘争においては、共産主義者は、ブルジョア平和主義と、反戦的な気分にみたされており、戦争に反対してたたかう気持をもっているが、まだ唯一の正しい革命的な道をみておらず、そのために平和主義的詐欺師ども − さまざまな平和主義的潮流を代表する詐欺師ども − の犠牲となっている広範な人民大衆の誤りとを、注意ぶかく区別しなければならない。
共産主義者は、大衆にたいしては、彼らの誤りをたえず説明して、彼らを戦争との闘争のための革命的統一戦線に引きいれなけれはならないが、主義的詐欺師にたいしては、倦むことなくたたかって、これを容赦なく暴露しなけれはならない。
(e) いわゆる「協同組合平和主義」は特別な役割を果たしている。国際協同組合同盟とロンドンの国際婦人協同組合ギルドとが、この平和主義の基盤である。たとえば、国際婦人平和自由連盟のようないくつかの左翼的ブルジョア団体も、これにはいる。(P380-P381)
(一三) 戦争の危険が近づき、かつ明白になればなるはど、上記のいわゆる「急進的平和主義」の潮流はますます危険となる。それは、現在、主としてドイツの「左翼」社会民主主義者、イギリスの独立労働党、諸小国(オランダ、ノルウェー、その他) の社会民主主義者によって代表されている。
この潮流のスローガンは、「二度と戦争を起こさせるな」、「戦争のボイコット」、「宣戦布告にはゼネラル・ストライキでこたえよ」、「軍隊ストライキ」等々のような、大仰な空文句であって、こうした空文句は、改良主義的指導者たちによって、大衆欺瞞のためにさかんに用いられている (たとえば、ゼネラル・ストライキというアムステルダム・インタナショナルの空文句)。
一九二二年一二月にハーグの平和会議へのソヴェト労働組合代表団にあたえた指令のなかで、レーニンは、平和主義のこの変種にたいする闘争におもな注意をむけたが、これはまったく正当であった。
このことは、今日でも完全に、全面的にその意義をたもっている。というのは、共産党のなかでさえ、この問題における強い偏見と偏向がいまなお無意識にたもたれているからである。それゆえ、次のことが必要である。
(a) たとえば、「われわれは戦争を許さない」というような大言壮語とたたかい、「二度と戦争を起こさせるな」というスローガンとたたかうこと。共産主義者は、これらのスローガンを理論的に「訂正する」だけにとどめることはできず、このような扇動をそそのかす者を暴露し、この扇動が戦争準備をおおいかくす手段としての意味をもつことを示すことによって、このような扇動に反対して積極的にたたかわなければならない。
社会民主主義者が大衆を愚弄するための偽善的な約束としてもちだしている「戦争にたいする戦争」というスローガンについても、多くの場合に同じことがあてはまる。
(b) 戦争の阻止についての「急進的」平和主義者の提案とたたかうこと。
共産主義者は、この連中を、自己の急進的な提案(ゼネラル・ストライキ、軍隊ストライキ)を実現するためになにもしないはらふきとして暴露するだけにとどめることはできず、平和主義者がもちだしているこのような提案そのものが誤った、子供じみたものであることを暴露し、戦争が現実にはどういう状況のもとで起こるかを大衆に説明し、闘争を特定の方法だけに限ることは不可能であり、階級闘争のあらゆる形態を適用する必要があることを、明らかにしなければならない。
(c) 戦争の危険にたいする闘争の問題で、共産諸党自体の隊列のなかからなされているあらゆる軽率な言動と仮借なくたたかい、それを公然と批判すること。
とくに現在では、論文や新聞、また議会の演説にみられるこれらの誤りとたたかうことが、必要である。どんな場合にも、このような誤りを黙過することは、許されない。
(一四) 平和主義やあらゆる軽率な「革命的」空文句にたいする闘争とならんで、共産主義者は、帝国主義戦争に反対する闘争において、多くの根本的な扇動・宣伝上の任務を果たすべき義務を負っている。その任務とは次のものである。
(a) ブルジョアジーと社会民主党とが戦争を正当化するために用いている詭弁や空文句にたいして、適時に反駁をくわえること。この点で最も重要なのは、今日でもやはり「祖国防衛」 のスローガンである。一九二七年の中国にたいする戦争は、「生命・財産の保護」、「通商の保護」、「国旗の保護」などというスローガンが、どういう意味をもっているかを、明らかにした。(P381-P382)
さきごろの帝国主義戦争では、協商国側では「プロイセン軍国主義にたいする闘争」というスロ−ガン、中欧諸国の側では「ツァリズムにたいする闘争」というスローガンが、大衆を動員するうえで決定的な役割を果たした。
イタリアとフランスまたはユーゴスラヴィアとのあいだのきたるべき戦争では、「反動的ファシズムにたいするたたかい」というスローガンが、これと同じ役割を演じるであろう。あとの両国のブルジョアジーは、その帝国主義的な戦争を正当化するために、人民大衆の反ファシズム的な気分を利用するであろう。
他方では、ファシズムは、アッペンニーノ半島の「過剰人口」、「膨張の自然的な必要」等等のスP−ガソによって、その帝国主義的な戦争政策を正当化している。
共産諸党は、これまでこれらの詭弁の暴露に十分な注意をはらってこなかった。
(b) 「このまえの戦争のさいには、事態はどうであったか、またなぜそれ以外ではありえなかったかを、まったく具体的に、くりかえしくりかえし人々に説明しなけれはならない。
とくに、『祖国防衛』の問題が避けられない問題となり、勤労者の大多数者は、不可避的に、この問題にたいして自国のブルジョアジーに有利な解答をあたえるであろうという事情の意義を、説明しなければならない」(レーニン)。
「このまえの戦争の経験に照らして、われわれは、宣戦布告の翌日にはどんなに大量の理論問題や日常生活上の問題が提出されるかを、そして、そのために、大多数の応召者にとっては、いくぶんとも明快な頭脳で、いくぶんとも良心的な公平さでこれらの問題にたいする態度をきめることが、まったく不可能になるであろうことを、説明しなければならない」(レーニン)。
「戦争の発生を包みかくしている秘密がどんなに大きいものであるか、通常の労働者組織は、たとえそれが革命的と自称している組織であっても、現実にせまりつつある戦争に直面しては、どんなに無力なものかについて、実情を人々に説明しなけれはならない」(レーニン)。
たくみに建設された非合法組織をもっていたポリシェヴィキは、戦時に革命的活動をつづけることができた唯一の党であった。しかし、当時ロシアではプロレタリアートの階級闘争が力づよく高揚しており、ペテルプルクの街上には、戦争の起こる数週間まえにバリケードがきずかれるという状態であったにもかかわらず、ポリシェヴィキですら、大衆がブルジョア的な「祖国防衛」に味方するのを阻止することはできず、まして戦争そのものを阻止することはできなかった。
戦争に反対する現実の闘争がどんなに巨大な困難をともなうかを、このように真剣に説明することのみが、この闘争の戦術上の諸問題を解明するための基礎となることができる。
(c) 最後に、このまえの世界大戦(一九一四−一九一八年)の経験、当時労働運動のなかに存在していた諸潮流、戦争に反対するポリシェヴィキの闘争とその基本的なスローガン―「帝国主義戦争の内乱への転化」というスローガンを、労働者大衆に詳しく説明することが、必要である。
(一五) この扇動・宣伝活動は、大衆のあいだでの党の日常の革命的活動とこのうえなく緊密に結びつけられなけれはならない。この点に、帝国主義戦争の勃発前におけるこの戦争にたいする闘争の最も重要な任務がある。(P382)
(a) 企業や労働組合内での活動は、なによりもまず、動員と戦争の実施とにとって必要な決定的な工業諸部門 − 金属工業および化学産業 − および運輸に集中することが必要である。とくに重要なことは、プロレタリア統一戦線戦術を正しく適用し、その成果を組織的に定着させること(行動委員会の設立、等々)である。
(b) 大多数の国々では農民が軍隊の大多数を構成していることに留意して、農民のあいだでの反軍国主義活動に特別な注意をはらわなけれはならない。大多数の国々の農民のあいだに存在する強い反戦的気分が、この活動を容易にしている。
ブルジョアジーは、大地主と富農を媒介とし、在郷軍人団や新聞をつうじて、ファシズム的な方法や平和主義的な方法を用い、また教会等々の助けを得て、農村に自己の影響力を確保し、農民の「戦闘精神」を高めることに努力している。共産主義者は、この活動にたいして、農村で階級闘争を激化させるための活動を対置しなけれはならない。
共産主義者は、世界大戦の結果に依拠して、また小農民の経済的諸要求のための闘争と結びつけながら、農民大衆のあいだで戦争に反対する扇動をおこない、戦争にたいするプロレタリアートの態度を説明し、反動的な農民団体のなかでフラクション活動を遂行し、土地の少ない農民の戦争反対の会議を組織しなければならず、軍隊内での活動を遂行するさいには、土地の少ない農民の特殊な利害を考慮にいれなければならない。
(c) バルカン諸国、ポーランド等々における民族革命運動は、帝国主義戦争の危険に反対し、帝国主義戦争の内乱への転化をめざす闘争において、きわめて重要な役割を演じなければならない。
このような国々における帝国主義戦争の危険に反対する闘争は、封建制の残存物および民族的抑圧に反対し、土地革命および民族革命の展開を目的とする闘争と、密接に結びついている。
それゆえ、資本主義に反対し、帝国主義戦争の危険に反対するプロレタリアート、農民、被抑圧諸国民の革命的ブロックをつくりだし、拡大することは、共産諸党のきわめて重要な任務である。
(d) 青年のあいだ、とりわけ青年労働者のあいだの活動は、決定的な重要性をもつ問題である。
青年諸組織だけでなく、すべての共産主義者が、ブルジョア的スポーツ団体に反対し、ファシスト組織や軍事学校など、ブルジョアジーが帝国主義戦争のために青年を訓練する目的に役だてている諸組織に反対して、最大のエネルギーをもってたたかわなけれはならない。
もうひとつの任務は、ブルジョア諸国における召集前の青年の軍事訓練に反対してたたかうことである。このような訓練が強制的な性格をもっているところでは、共産主義者は、青年労働者に呼びかけて、そういう訓練に参加させ、そのなかで青年を啓蒙し、ブルジョア的軍事組織を分解させるための活動を組織する。また志願制のブルジョア的な軍事団体のなかでも、同様な活動をおこなわなけれはならない。
この目的で、共産党と共産青年同盟はそうした団体のなかに自己の成員を送りこむが、しかし、青年労働者には、そうした団体への加入を呼びかけることはせず、彼らには、プロレタリア自衛団に加入するか、あるいはそれを設立することを、提案する。
(e) 婦人が産業において、とくに戦時に果たす大きな役割を考慮し、また婦人が男子労働者におよぼす影響を考慮するとき、婦人工業労働者や労働者の妻のあいだで活動し、小ブルジョア的諸組織が彼女たちにおよぼしている帝国主義的な影響とたたかい、彼女たちを労働組合その他のプロレタリア的大衆諸組織に組織することが、戦争の危険に関連して特別な意義をもつようになっている。(P383-P384)
そのさい、婦人の軍事化の計画をとくに考慮にいれること、婦人にたいするブルジョアジーの平和主義的、宗教的、民族主義的諸組織の影響が強まっている事実にもっと大きな注意をはらうことが、必要である。この活動を軽視する態度、またこの活動をもっぱら婦人共産主義者だけの仕事だとみなす見解は、あらゆる仕方で克服されなけれはならない。
(f) 反軍国主義活動、陸海軍内での活動、新兵や予備兵のあいだでの活動、プロレタリア分子が多数参加しているブルジョア的自衛組織内での活動は、党の革命的大衆活動全体と有機的な一体をなさなければならず、またすべての労働者がこれに引きいれられなけれはならない。
(一六) レーニンは、宣戦布告後にも革命的活動をそのままつづけるための「唯一の可能な手段」は非合法組織をつくることであると、考えていた。宣戦布告前においても、戦争に反対する闘争においては非合法組織は不可欠である。
戦争に反対する闘争の事業におけるこの最も重要な任務を実践的に解決する点で、いまなおきわめて大きな懈怠、きわめて大きな不明瞭さがみられる。一部の共産党の若干の部分のあいだには、反軍国主義活動をおこなうことは、もっぱら青年や特殊な組織の任務であるとか、軍隊内での活動は党にとって無条件的な任務ではないとかいう、まったく日和見主義的な偏見がひろまっている。
このような見解にたいして断固としてたたかい、いますぐレーニンの指令の精神で活動を開始することが、必要である。この面での任務は次のものである。
(1) 党の工場・経営細胞網を拡大すること。企業家のテロルと警察支配とのため、ある種の条件のもとでは、これらの細胞は完全に非合法に移行しなければならない。この移行を準備するためのあらゆる必要条件をつくりだすこと。
(2) 厳格な非合法の条件のもとにあってもその機能が確保されるように、指導機関、連絡機構および党機関誌を準備すること。
共産党は、あらゆる合法的な可能性の利用を瞬時も放棄することなしに、すでに今日これらの任務に最大の注意とエネルギーをさかなければならない。そうしなければ、宣戦布告と同時に始まるテロル ― その徴侯は、今日すでに多くの国々に現われているが ― が、かならずや党組織を破壊し、それによって戦争に反対する革命的闘争のための最も重要な前提条件を破壊するであろう。
(一七) 共産諸党は、現在、帝国主義戦争にたいする闘争のために大衆を準備し、獲得し、組織するという中心任務に、その全活動を従属させなければならない。
搾取と抑圧の強化に反対するプロレタリアートとその他の勤労住民層の闘争、賃金、労働時間、租税と関税の問題での、住宅政策や社会政策の分野でのその闘争、また政治的無権利、迫害およびファシズムの危険の強化に反対するその闘争は、この闘争で直接にかかげられた要求にとどまらずに、帝国主義的戦争政策に反対する断固たる闘争と結びつけられなけれはならない。
対外政策、軍備、陸軍演習、新たな兵器の導入等々のあらゆる重要問題は、広範な大衆の討議にかけられ、革命的大衆行動を組織するために利用されなければならない。
この闘争では、共産諸党は、自己の力の冷静な評価を放棄することなく、しかも大胆に、断固として、大衆の先顕に立たなけれはならない。
党は、帝国主義的ブルジョアジーの戦争政策に反対して、デモンストレーションや抗議ストライキを組織し、必要に応じて大衆のまえにゼネラル・ストライキの問題や、いっそう鋭い闘争形態の問題を提起しなけれはならない。(P384-P385)
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