東中野氏の徹底検証 17 |
アリソン事件 |
これは、「一方の側の情報しか伝えない、公正を欠いた記述」の例です。
この紹介では、「アリソン事件」のイメージは、正確に伝わりません。これを読んだ方は、「アリソン氏が一方的に傲慢な態度に出たから日本兵による「殴打事件」が起こったのだ」、と解するでしょう。「理由の如何を問わず」「アリソン氏の検察官のような態度」という言葉で、東中野氏は、そのような暗示を試みています。 以下、資料により、「アリソン事件」の概要を、追ってみましょう。 まず、きっかけとなった「ある事件」の内容を、確認しておきます。
東中野氏は「ある事件」の内容をぼかしましたが、これは実は、天野中隊長らによる「強姦事件」でした。 「飯沼日記」の記述だけを読むと、東中野氏の紹介とは、だいぶイメージが違ってきます。「強姦事件」を調査に来たアリソン氏を、事件の「犯人」である「天野中隊長」らが、「殴打し追い出」したわけです。 *なお、「天野中隊長の非行」は、南京戦に参加した兵士の間でも有名だったようです。「南京戦 102人の証言」でも、天野中隊長の名はたびたび登場します。 この「殴打」に至った経緯について、アリソン氏は詳しく書き残しています。以下長文になりますが、参考資料として、アリソン氏の側から見たこの事件の記録を紹介しましょう。
このあとに、グルー氏による事件のまとめが掲載されています。
東中野氏は、「日本軍中隊長の制止を振り切って家屋内に侵入しようとした。そのため、一伍長がアリソン氏を殴打するという事件が発生した」と説明していましたが、これは日本側の説明です。 アリソン氏の側では、「平手打ち」は、アリソン氏の侵入を止めるためではなく、「門から出る」直前に加えられた、という主張を行っています。
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