吉永春子『七三一 追撃・そのとき幹部達は・・・』
○高橋正彦 第一部五課の班長
高橋博士への訊問 一九四七年十一月二十日
主題「エアゾール」
人体実験のために使われた八角形の部屋は二八立方メートルあった。
エアゾール発生のために昆虫用スプレーが用いられた。或る場合は噴霧器が部屋の中に設置されたが、操作は外から行なった。また、噴霧器は外におき、エアゾールはゴムホースで部屋の中に入れた。
噴霧の率は、バクテリア懸濁液一秒約一立方センチであった。人体実験のためにバクテリア懸濁液を濃化したもの二つを一立方センチ一ミリグラムと、一立方センチ一〇〇ミリグラムを使用した。部屋には外部に向け、風穴が開いており、部屋の中の圧力は実験中一定であった。
人体が部屋に入れられ、バクテリアのエアゾールが上述の方法で入れられた。エアゾールにさらす時間は、微生物が部屋の中でゼロ濃化から均衡濃化の状態になるのに必要な時間以内とされた。このさらす時間は変化し、通常十秒以上であった。
エアゾールの濃化は、試験物体の回りの部屋の床の上に、寒天のプレートをさらすことにより決定された。プレートは定温培養され、コロニー(培養上の細菌個体の集落)の計算が行なわれた。高橋博士によれば、これら微生物の数の僅か半分か三分の一しか測定されなかった。空気中に定着した大きな粒子だけがこのプレートに拾われ周囲をとりまいていた。小さな粒子は発見することは出来なかった。(略)
次の実験はエアゾールにさらした部屋で行なわれた。
| ペスト |
四実験 |
各々四−五実験物体 (P232) |
| 炭疽 |
十実験 |
各々この内二物体だけ病気が進行した。 |
| チフス |
一実験 |
二人体 |
| 天然痘 |
一実験 |
一−二人体 |
| 鼻疽 |
五−六実験 |
|
| 結核 |
一−二実験 |
|
| 赤痢 |
二−三実験 |
|
| ブルセラ病 |
二−三実験 |
各々一−二実験物体 |
| ガス壊疽 |
二−三実験 |
各々一−二実験物体 |
| コレラ |
二−三実験 |
各々一−二実験物体 |
| 孫呉熱 |
二−三実験 |
各々一−二実験物体 |
(P233)
(「ゆう」注 この項、前書き的な3行を除き、ほぼ全訳) |