海軍大臣官房 『戦時国際法規綱要』
(ハ)処罰
(1)戦時重罪は、死刑又は夫れ以下の刑を以て処断するを例とす。
之が審問は、各国の定むる機関に於て為すものなるも、全然審問を行ふことなくして処罰することは、慣例上禁ぜらるる所なり。(P54)
(上記注)
(二)日露戦争の際、我軍の採用したる軍律、法廷の編成及裁判手続に関する原則、概ね左の如し。(有賀長雄氏著日露陸戦国際法論第六三九、及六四〇頁)
(イ)軍法会議と軍律法廷とを判然区別し、軍律を適用する為には軍法会議の如く綿密にして時間を要する手続を必要とせず、将校及相当官又は文官を以て特別の委員を組織し、更に敏速なる手続に依り犯罪を処決したり。
(ロ)軍律法廷に於ては形式を簡単にしたりと雖も、尚合議裁判の制を確守し、少なくも三名の委員に於て多数を以て有罪の決定を為したり。(P55)
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